はい皆さんこんにちは!
フライト兄貴です。
さて前回このカテゴリーではテールローターの役割について解説しました。
そこで今日はテールローターの種類について紹介したいと思います。
主なテールローター3つ
現在主に採用されているテールローターの種類は3種類です。
- テールローター
- ノーター
- フェネストロン(ダクテッドファン)
一つずつ紹介していきますよ^^
普通のテールローター
まずは普通のテールローターです
特に説明することはありませんね。
前回の記事に書いた通りです。
と言いたいところなんですが、
先ほどの機体とこの機体のテールローターを比べてみてください
なにか違うところはありますか?
- 右側に付いている
- ブレードが4枚だ
- 付いている位置が高くない?
あたりに気付いてもらえると嬉しいんですが、
今回はその中で最後の「テールローターの位置高くない?」
というのにフォーカスしてみようと思います。
これはわざわざ間にドライブシャフトの方向を変えるギアボックスを装備して、テールローターの位置を高くしているんです。
その名もIGB(Intermediate gearbox)直訳すると「中間ギアボックス」ですね。
その理由については次で解説します。
テールローターを上げる意味
わざわざ構造を複雑にして重量も増えるのに、やる意味って何でしょう。
目的は3つです。
- 人や物の接触防止
- ダウンウォッシュの影響回避
- 機体のロール防止
1の接触防止はそのままなので割愛します。
ダウンウォッシュの影響
テールローターの位置が低い場合、前進飛行時はメインローターで発生したダウンウォッシュが機体の後方まで流れてきます。
吹きおろしの風の中でテールロータが回っている状態ですね。
そうすると気流の速度や向きが乱れることで、本来の能力が発揮できなくなります。
その対策として位置を上げて、ダウンウォッシュから逃がしてやるというのが目的の一つです。
機体のロール防止
メインローターの回転面(厳密にいうと駆動点かな)の高さとテールローターの高さの差があると機体がロールします。
力点がずれるから傾いてしまうんですね。
これを出来るだけ軽減するためにメインローターとテールローターの高さを合わせてやるという対策です。
これは主に中、大型ヘリコプター採用されている方法ですね。
ノーター
続いてノーターです。
なんとっ!
テールローターが無いのにメインローターも1つしか付いていません!
設計ミスではありませんよ。ちゃんと世界で飛んでいるヘリコプターです。
これは「NOTAR」といって「No Tail Rotor」の略です。
MDヘリコプターズというアメリカの会社が開発した画期的な(?)アンチトルクシステムです。
テールブームの付け根部分に可変ピッチファンが装備されています。
ファンによって作り出された気流をテールブームの側面や後端部より吹き出すことでテールローターと同じ役割を果たしています。
利点:
- テールローターへの接触による怪我や機体の損傷を防げる。
- 騒音が少ない
- 振動が少ない
欠点:
- 操縦性が悪い
- 効率が悪い
フェネストロン
フェネストロンというのは現在のエアバスヘリコプターズ社の商品名のようなものですね。
一般名称でいうとダクテッドファンとなります。
見ての通り、バーチカルスタビライザーの構造部の中にローターが装備されています。
利点:回転部が完全に構造内で回っているので、接触が防げる。
欠点:構造が複雑で部品点数も多くなるので整備性の悪化、コスト増、重量増につながる。
一見するとテールロータをダクトに埋め込むためにこんなに複雑にするのは非効率にも見えますよね。
でもテールローターって回っていると意外と見えにくいもので、
ヘリコプターを知らない人が不用意に近づいてしまう可能性があります。
実際にそういう事故は過去何度も起きていますので、NOTARやフェネストロンは非常に有効な手段であると言えるでしょう。
まとめ
今回はテールローターの種類について3つ紹介しました。
- 通常のテールローター
- ノーター
- フェネストロン
それぞれ航空機メーカーの工夫があって面白いですね。
どのメーカーも一貫しているのは安全性の追求ですね。
ヘリコプターは様々な用途で使われますし、街中に降りることもあります。
その分一般の方が近づく可能性も高いので、接触事故を根絶しようという思いをはかり知ることが出来ます。
でも最後は運用する人間に依存する部分は大きいです。
しっかりと安全運航に努めていきたいと思います。
ヘリコプターに興味が出たならぜひ整備士を目指してみてください。
一番の近道は航空専門学校で資格をとることです。
こちらの記事を読んでみてくださいね^^