こんにちは、フライト兄貴です。
今日はテレビドラマ「コード・ブルー」で一躍有名になったドクターヘリの整備士について紹介しようと思います。
ヘリコプター整備士を志す学生さんの中にもドクターヘリをやりたいという方は多くいると思いますが、やりがいだけでは出来ない現実もあります。
現役ヘリコプター整備士として包み隠さずご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
ちなみに…コード・ブルーで使用された機体の紹介はこちらのドラマ「コード・ブルー」でガッキーも乗った機体はこちら!で紹介しています。興味がある方はぜひご覧ください。
ドクターヘリの運航はチーム戦
ドクターヘリはまさに少数精鋭部隊で、各専門家が集まって運航を行っています。
職域を大きく分けると運航クルーと医療クルーで分けることができ、それぞれこんな方が関わっています。
運航クルー
- パイロット
- 整備士
- 運航管理者(CS:Communication Specialist)
医療クルー
- フライトドクター(医師)
- フライトナース(看護師)
- 受入先病院のスタッフ
少数精鋭と書きましたが、原則それぞれ一人ずつが担当しますので、個々の役割と責任は非常に大きい業務です。
その分やりがいもありますしチームとしてのつながりは強いものになります。
この記事では整備士にフォーカスしますので、他の職種に興味がある方はコメントかお問合せいただければと思います。
ドクターヘリ整備士の1日
さてここからはドクターヘリ整備士の1日を追いかけるぜ
朝イチでやること
まずは朝基地病院に着いてやることは、パイロットとCSと共にアルコールチェックです。
国の指針によりセルフチェックはNGで必ず第三者のチェックを受けるようになっています。
ここでアルコールが検知されると、運航停止と航空局への報告が必要になりとてもとても大変なことになりますので注意しましょう!!
アルコールチェックが終わると飛行前点検を行います。
飛行前点検とは読んで字のごとく、その日最初の飛行前に行う点検の事で機体全体を30~40分かけて点検します。
このときに機体の電源も投入し、エラーが出ていないか、各種センサー類は正常に作動しているか、ライトは点灯するかという事もチェックしていきます。
飛行前点検が終わったらいよいよスタンバイ開始となりますが、その前に当日の運航クルーおよび医療クルーでブリーフィングを行うルールになっています。
当日のクルーの顔合わせや、天候状態、飛行可能エリアなどの共有が目的です。
またその日のワンポイントKY(危険予知)活動なんかも行ったりします。
ここまでをドクターヘリの運航開始時間に間に合うように終わらせるのです。
飛行要請が入ったら
飛行要請はまず消防機関から病院のCSに入ります。
CSから飛行要請が入った旨の連絡を受けると、整備士はいそいで機体のところまで走ります。
機体に地上電源を供給したり、機体のカバー類の除去、周囲の安全確保を行ったらすぐにエンジンスタートです。
整備士は機体の前に立って正常にエンジン始動を完了することを確認します。
その後地上電源を取り外したり、最終チェックをしていると医療クルーがやってきますので、搭乗のサポートを行います。
ドアクローズを確認すると自らも乗り込んで離陸しますが、ここまでおおよそ3分です。めっちゃ早いでしょ?
ちなみに、この時運航クルーは大まかなエリアしか行先を知らされていないこともあります(^^;
でもそれはCSからの嫌がらせではなくて(笑)一刻も早く現場へ行くための工夫でもあるのです。
離陸後に整備士がCSと無線交信をして、詳細な着陸場所を入手することで1秒たりとも無駄にせず現場へ向かうことができるんですね。
その後上空で消防と無線交信をして地上の状態や患者さんの情報を入手したり、必要があれば整備士から着陸ポイントの散水等をお願いする場合もあります。
散水は学校のグラウンド等に着陸する場合、砂埃が舞ってしまうのを防止するためです。
地上の安全確保が確認できるまでは上空待機だ
無線と目視で地上の安全確保を確認出来たらいよいよ着陸です。
整備士は風向きや降下率、その他送電線等に注意を向けて必要であればパイロットにアドバイスを行って安全に着陸することを最優先させます。
現地では何をする?
無事着陸すると整備士が先に降りて、エンジンカットの監視を行い、ローターが停止するのを確認してから医療クルーの降機と救急車の誘導を行います。
さてここからは医療クルーの独壇場で整備士は暇してる…なんてことはありませんね。
もちろん次の離陸に向けて機体のチェックや準備は行いますし、フライトドクターやナースのお手伝い的なこともやります。
本来そこの業務はきっぱり線引きされているのですが、現実の現場ではそうも言ってられません。
チームで運航していますから!
さてフライトドクターとナースの懸命な初期治療が終わったら搬送に移ります。
基地病院に搬送する場合もありますし、他の病院に搬送してから基地病院に戻る場合もあります。
このあたりの調整はドクター、ナースの領域なので関与することはありません。
飛行後点検、デブリーフィング
無事に搬送も終えて基地病院に戻ってきたら後片付けと次のフライトに向けた準備を行います。
具体的には機内清掃や燃料補給、飛行間点検ですが、この間にも次のフライト要請が入る可能性は大いにありますので、優先順位をつけながら手際よくこなすことも必要です。
ドクターヘリの待機時間が終了したら朝と同じように全クルーで「デブリーフィング」を行います。
その日の運航の振り返りや反省点、改善点などを話し合います。必要があれば他のクルーへの共有も行って次の運航につなげます。
ドクターヘリ整備士が気を付けていること
感染症対策は入念に
医療現場ではさまざまな感染症の可能性があります。
特に血液を介して感染する恐れがあるので、機内清掃の場合も手袋必着です。
そして、たまーーーーに注射針が落ちていたりするので細心の注意を払う必要があります。
私も入社後初めてドクターヘリの整備作業についたときに、「フロアとかむやみに素手で触らないように」と注意されて衝撃を受けました。
運航後に機内清掃はしていますが、スキマや溝に血液が残っている可能性もあるのです。
感情は入れ過ぎない
ドクターヘリは一刻を争う事故現場等へ出動します。
そして要請基準の中には「重度外傷」や「重度熱傷」といったキーワードも含まれます。
患者さんやそのご家族に必要以上に感情移入してしまうと、ヘリコプターの運航という本来の業務に支障をきたしてしまいますし、場合によっては二次災害を引き起こしかねません。
そういう意味で感情は入れ過ぎないということが大事です。
お昼ご飯は急いでたべる
お昼にカップラーメンを作っていると要請が入る。なんてジンクスもあったりします(笑)
そうなるともうすぐ出来上がるカップラーメンも置き去りにするしかありません( ノД`)シクシク…
ある意味カップラーメンチャレンジです!
戻ってきたらスープなんてもうありませんからね!カップの中はすべて麺ですよ!!
まぁそれは笑い話として、お昼休憩中も要請は入りますのでパパっと済ませられる食事か、後からでもおいしく頂けるメニューにするクルーが多いですかね。
ドクターヘリ整備士になるために必要な資格
運航する機体の整備資格はもちろんですが、その他にも運航会社の規定等で必要な社内資格等もありますので一概には言えませんがこんなイメージだと思います。
- 機体の整備資格(一等航空整備士 or 二等航空整備士)
- 無線免許(航空無線通信士 or 航空特殊無線技士)
- 規定の整備士経験
- ドクターヘリ運航の社内資格
- 日本航空医療学会の講習を受講
下3つは社内規定での取り決めになると思いますが、整備士経験は概ね5~7年としている会社が多いのではないでしょうか。
ドクターヘリ整備士の年収
まず大前提として、運航会社や各個人のライセンス数などによって違うという事はご理解ください。
ただドクターヘリ整備士には各種手当が付くことが多いです。
- 出張日当
- 飛行手当
- 出動手当
- 時間外勤務手当
運航会社によってはEMS待機手当なるものも支給されます。
そのため年収としても上がりやすいと思います。
(日当は年収には含まれませんね)
目安としては大体550~650万円程度。
それに加えて上記の出張日当が付きますので、実質的な収入はもう少し多い金額ということになります。
さいごに
ドクターヘリ整備士の仕事内容や必要な資格、やりがいや注意点などについて書いてきました。
最後には年収についても少し触れました。
これを多いと感じるか少ないと感じるかは人によるとは思いますが世間の平均年収よりは頂けるという事になります。
一方で当然ですが大きなプレッシャーの中で仕事をすることになり、勤務中は一日気が休まることはありません。
それでも大きなやりがいは確実にあります!
この記事を読んでドクターヘリ整備士になりたい!と思ってくれた方がいれば嬉しいです。
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大学生、第二新卒の方でやっぱり航空専門学校で学びたいー!!という方はこちらになります。
20代前半からでもまだ間に合うよ!という記事をまた書こうと思うので、ぜひそちらも楽しみにしていてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
これから航空専門学校を目指す方はぜひこちらの記事も参考になると思いますので読んでみてください。