航空機のおはなし

報道ヘリは嫌われ者?実は救助ヘリと同じ会社が運航している!?あなたは報道ヘリについて誤解してるかも。

2021年8月1日

空を飛んでいるヘリコプターの中には、報道機関が取材に使用するための「報道ヘリコプター」があるのをご存じでしょうか。

飛んでいるのは知ってるけど詳しくは知らない。

という方が多いのではないでしょうか。

飛ばしてる側から見た報道ヘリコプターというものを解説していきますので、

ヘリマニアの方も

マスコミ嫌いの方も

一度フラットな気持ちで読んでいただければと思います。

この記事を書こうと思ったきっかけ

私はTwitterをやっているのですが、世間のみなさんが報道ヘリに対して誤解されている部分があるのでは?と思ったのがきっかけです。

というのも、災害が発生すると以下のような意見を目にします。

  • 報道ヘリは救助の邪魔をするな
  • 低高度で飛んでいてあぶない
  • 音で助けを求める声がかき消される
  • 被災者の気持ちを逆なでしている

もちろん、仰る通りで報道する側が配慮しなければいけない事は大いにあると思いますし、救助の邪魔になることがあってはならないと思っています。

ただヘリコプター業界に身を置く一員として、誤解されている部分はきちんと説明しなければいけないな、とも思っています。

アンケートを取りました

そこで私のアカウントで一度アンケートを取ったことがあります。

アンケート内容は、「報道ヘリのイメージを教えてください」

です。

こんな結果になりました。

やはり否定的なイメージをお持ちの方が多いんだという事が分かります。

報道ヘリは救助ヘリの邪魔をしている!?

一番多く目にする「救助ヘリの邪魔をするな」という声ですが、

半分正論、半分誤解だと思っています。

災害時には色んなヘリコプターが飛んでいる

大規模災害時に被災地上空をどんなヘリコプターが飛んでいるかというと、

  • 自衛隊
  • 海上保安庁
  • 警察
  • 消防(防災)
  • ドクターヘリ
  • 国土交通省
  • 報道ヘリ
  • その他民間ヘリ

ざっと挙げただけでこれだけあります。

これだけのヘリコプターが狭い空域で飛ぶことになりますので、当然ルールが定められています。

これは大規模災害でなくてもそうですが、報道ヘリが事件・事故で取材をする際は

無線機を共通周波数にセットしたり

空域に入るとき、出るときは無線で宣言したり

旋回する方向が決まっていたり

様々なルールの中で飛んでいます。

当然救助ヘリとは飛ぶ高度が全然違いますので接触する危険もありません。

狭い航空業界、悪い噂はすぐに広まる

とはいってもルール違反して自由気ままに飛んでるパイロットもいるんじゃ!?

と思うかもしれませんが、航空業界、特にヘリコプター業界なんてとても狭い業界です。

会社や組織を越えて知り合いもたくさんいますし、〇〇県警の△△さんは□□航空に転職したらしいよ。なんて会話もよくある話です。

そんな身内しかいないような業界で自分勝手に飛んでいたら、たちまち悪い噂は流れてこの業界にいられなくなってしまうでしょう。

少なくとも体制のしっかりした大手ヘリ会社のパイロットには、わざわざ自分から航空法に違反する飛び方をする人はいないと思います。

報道ヘリは低空飛行をしている!?

良い画を取るために低空飛行してるんだろ!という声も聞こえてきますね。

これについては全くのデマ?誤解?で、キチンとルールに従って飛んでいます。

航空法により低空飛行できないルールになっている

航空法により、「人または家屋の密集している地域にあっては・・・(中略)・・・最も高い障害物の上端から300メートルの高度を確保しなければならない」と定められています。

だいたい1000フィートですね。

しかし1000フィートで取材を行う事はほぼ無いでしょう。

通常は2000フィート以上で飛んでも十分取材できますので、むやみに高度を下げるようなことはしません。

また航空法以外にも(一社)日本新聞協会において「航空取材要領」というものが定められており、その中で高度や速度に関しても騒音を発生させないよう取り決めがあります。

低空飛行する必要も意味もない

そもそもの話ですが、ヘリコプターに搭載される中継カメラは非常に高性能です。

超高性能防振装置の中に超高性能レンズが入っていますので、低高度で飛ばずとも上空からクリアな映像が撮影できるのです。

むしろ低高度だとすぐに映像が流れてしまうので、カメラで追うのが大変です。

ある程度高度を稼がないと撮影の尺が取れないなんてこともありますよね。

このような理由から報道ヘリが低高度に降りてくることはありません。

報道ヘリは誰が飛ばしているの?

これまでの私の説明を納得してもらうためにはこの「誰が飛ばしているか」というのを説明しなければいけませんね。

答えは「大手ヘリ運航会社」です。

大手ヘリ運航会社はあらゆるヘリコプターを運航している

ここでいう大手というのは朝日航洋や中日本航空、東邦航空等を指しますが、こういった大手運航会社が報道局から委託を受けて運航しています。

そしてそのヘリコプター運航会社というのは報道ヘリの他にも、災害時に救助を行う防災ヘリも運航していますし、ドクターヘリも国交省の機体も飛ばしています。

もっと言えば消防も警察も整備事業のお客様であることが多いです。

つまりお客様や身内の邪魔するわけ無いですよね?という話です。

例外としてはNHKと一部新聞社です。

NHKは専属の運航会社を持っていますし、新聞社の一部は自社運航しています。

ただこちらも自社運航しているからといって共通の法規やルールの中で飛んでいるので、何も変わらないと思います。

さいごに

今回、多くの方が報道ヘリに対して誤解されている部分があるのではと感じ、記事に起こしてみました。

報道ヘリ擁護意見を中心に書きましたが、もちろん災害救助の際のサイレントタイム等は救助機関の要請に従うべきですし、実際そうしています。

被災者感情として見せ物になっているようで気分が悪い。という声は本当に理解します。

報道される側のプライバシーは報道する側で守っていかなくてはいけないと思います。

一方で情報を知りたいという人もいるのです。親戚、知人の安否が心配という方はもちろんですが、救助を行う機関や被災地支援、復旧を担当する行政も災害発生初期は報道の映像から情報を集めることが多いのも事実です。

この記事で少しでも皆さんの誤解が解けることがあれば、報道ヘリの運航に携わる者として嬉しく思います。

ヘリ整備士に興味を持っていただける方がいれば、こちらの記事もご覧ください。

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