こんにちは、フライト兄貴です。
今日は防災ヘリコプターについて解説しようかと思います。
そもそも「防災ヘリ」って何ぞやという方も多いと思いますので、任務の内容とか、その中で整備士が担う役割とか、大変なポイントも解説していこうと思います。
防災ヘリコプターってなに?どんな任務があるの?
まず、防災ヘリの組織について。
防災ヘリは法律(消防組織法)に定められた「消防隊」の一組織です。
各都道府県や一部の政令指定都市で導入されていて、消防・防災に関わる様々な任務についています。
※都道府県で唯一沖縄県は防災ヘリを保有していません。県の代わりに自衛隊が同様の任務を担っています。
それでは防災ヘリにどんな任務があるのか見ていきましょう。
任務1:救助活動
テレビで目にする機会が多いのはコレ!
山で遭難、滑落して動けない人を助ける山岳救助
川や湖での事故・孤立の際の水難救助
大規模水害や津波での災害救助
まさに命の危険にさらされている人を助けるという重大な任務です。
機体に装備されているホイストという装置を使って人を吊り上げて救助します。
このシーンを一度はニュース等で見たことがあるのではないでしょうか。
ヘリコプターからの救助活動は防災ヘリの他にも警察、自衛隊、海上保安庁等でも行っています。
それぞれの自治体で協定を結んでいて、どういう事案にどの組織が初期対応する等決まっている場合が多いです。
人の命に直結する分やりがいも大きいですが、救助する側も危険が大きいというのが実情です。
従事している同僚に話を聞くと、命の危険を感じたことは一度や二度ではないと言います。。。
それでもヘリやってる人間からしたら憧れの業務の一つだね!
任務2:消火活動
対応する事案は主に山火事!
山火事は広範囲に及ぶことも多いので、どんどん延焼していくのを抑え込む役割が大きいですね。
そのため火を直接狙う場合と、火の周りを狙って散水する場合もあります。
散水の方法には主に二つの方法があります。
- バンビバケットによる散水
- ファイヤーアタッカーによる散水
バンビバケットによる散水
バンビバケットとはカナダのSEI Industries社が販売する、大きなバケツのようなものになっています。
これをワイヤーで吊り下げて散水するのです。
↑こんなのですね。
給水はこのバケツを川や湖の水面にちゃぽんと沈めて汲みます。
まさにバケツで水を汲む感覚です。
注意点としては給水後一気に重量が増すので、エンジンの限界を超えないように徐々にパワーを足して飛ぶ必要があります。
ファイヤーアタッカーによる散水
ファイヤーアタッカーはDART Aerospace社(SIMPLEX)が販売するヘリコプターに固定する消火用の水タンクです。
↑こんなの
こちらはポンプによって川や湖で給水できるようになっています。
特徴は、、、カッコいい!!
任務3:救急搬送
離島やへき地での救急現場から大病院への搬送や、ドクター付き添いでの転院搬送等の任務もあります。
ドクターヘリが対応できないような離島や夜間での対応が主ですかね。
東京都の東京ヘリポートではよく東京消防庁のヘリコプターから救急車へ引継ぎ搬送が行われています。
任務4:情報収集
火災や災害の情報収集を行うために飛行することもあります。
上空からだと現場の状況が一目でわかるので、無線を使用して情報伝達をしたり、
機体に搭載しているカメラからの映像を送ることで、地上での消火・救助活動に役立てられています。
映像は消防本部だけじゃなくて他の地方自治体にも伝送できるようになってるらしいで
任務5:広域応援
大規模災害時に応援活動として出動します。
東日本大震災の際に全国から支援ヘリが東北各県で活躍した映像を見た方も多いのではないでしょうか。
陸路が断たれていてもすぐに空から支援活動に駆け付けられるというのはヘリの強みですね。
被災した県や国からの要請に基づいて活動を行います。
災害発生直後の混乱期の活動になるので、東日本の際も飛行許可の申請や燃料の確保など、実際には思うようにいかない場面も多くあったようです。
それでも元々日本でヘリコプターの導入が進んだきっかけが阪神・淡路大震災でした。
このような災害を経験する度に機材も制度も整えられて盤石になっていくのだと感じました。
全国の防災ヘリコプター紹介
北海道防災航空室
北海道防災は民間(朝日航洋)へ運航委託を行っています。
隊員のみ北海道各地の消防から派遣されてきており、パイロットと整備士は朝日航洋の社員で運航しています。
運航機材はベル式412EP型とエアバス式AS365n3+型の計2機です。
東京消防庁
東京消防庁はなんと計8機のヘリコプターを運航しています。(うち1機は総務省からの運航受託)
他の航空隊は運航を委託していたり、定期整備を委託していたりしますが、さすが東京消防庁。
ほぼすべての作業を自隊で完結しています。
特徴としては離島に対応するため長距離運航が可能な大型機材を多く有している事です。
日本で初めてイタリア製のレオナルド式AW189を導入したのも東京消防庁です。
佐賀県防災航空隊
最も歴史の新しい防災航空隊です。
佐賀県防災ヘリの導入により、唯一配備が無いのが沖縄県になりました。
運航機材はエアバス式BK117D-2型で、運航はエス・ジー・シー佐賀航空へ委託しています。
赤と青を基調とした機体に「佐賀のS」でしょうか?
胴体に大きなSの字が描かれていてデザイン面も気合入ってるな、という印象です^^
高知県防災航空隊
こちらは最も新しい機体を保有する航空隊です。
元々シコルスキー式S-76B型とレオナルド式AW139型の機体を運航していましたが、
S-76は老朽化に伴い退役。
AW139は整備委託先で定期整備中に水害を受けて退役という悲しい過去があり、機体が無い状態でした。
水害を受けた代替機がようやく配備され、2021年12月に運航開始する運びとなりました。
まとめ
防災ヘリコプターは災害対応を中心に色んな任務を担っているのが分かりましたね。
↓こちらの記事↓では防災ヘリコプター整備士の役割や、なるためにはどうしたら良いか。
というところを紹介しますので、そちらも必見です!!
専門学校選びに迷われている方にはこちらの記事がおススメです。