航空機のおはなし

トキエアの機材ATR72-600はどんな機体?価格や座席についても紹介

トキエア

はじめに

新しい航空会社『トキエア』が2024年1月31日に新潟-札幌(丘珠)間で就航します。

そこで使用されるATR72-600(JA01QQとJA02QQ)という機体の特徴や、予約する時におすすめの座席位置について解説したいと思います。

ATR72-600の特徴

機体の仕様と性能

トキエアが導入する仕様での諸元をまとめました。

項目 詳細
座席数 72席
機体全長 27.17m
翼幅 27.05m
最大離陸重量 23,000kg
航続距離 1,370km
巡航速度 500km/h
エンジン ターボプロップエンジン
エンジン型式 プラット&ホイットニーカナダ式PW127M型
離陸距離 1,315m
着陸距離 915m

高効率なプロペラ駆動

ATR72-600の大きな特徴の一つとして高効率のターボプロップエンジンを搭載している点が挙げられます。

1座席当たりの燃料消費量は 2.8L/100kmで、これはターボファンエンジンを搭載した旅客機と比べて40%少ないと言います。

短距離を繰り返し飛行する地域路線においては特にプロペラ機であるターボプロップエンジンの優位性が高いのです。

これは環境負荷低減だけでなく、運航コストの低減にも役立っていることでしょう。

また騒音に関しても優秀な性能を有していて、ICAO(国際民間航空機関)で定める騒音値を大幅に下回る数値で、乗っている人にも空港の周辺住民にも優しい航空機となっています。

先端技術の採用

ATR72-600は最先端のフルグラスコックピットを採用しています。

グラスコックピットとは電子制御航空機システムのことで、あらゆる計器類がディスプレイに集約されています。

人間工学的に基づいた配置・操作性でパイロットにのワークロード低減、安全性の向上に役立っています。

運航実績と市場での評価

トキエア以外での採用実績

ATR72シリーズはこれまで世界で1170機以上が納入されていて、受注残を含めると1331機にもなるそうです(メーカー発表)

航空会社の数で言うと70社以上が運航している歴史長くも実績も豊富な旅客機になっています。

日本ではJAL(日本エアコミューター)が運航しており、鹿子島-奄美-徳之島を結ぶ短距離離島路線に投入されています。

航空会社の評価

ATR72-600を運航している各社のプレスリリースなどの開示情報を調べると、ATR72-600は最先端で汎用性が高い点が高く評価されているようです。

元々ATRという会社はエアバス社とレオナルド社が共同で立ち上げた会社で、エアバスA380で培ったコックピットの技術を取り入れているとのことです。

それから整備目線で見ると、ATR72より一回り小さいATR42シリーズとの共通部品が多いというのも評価されているポイントになっています。

乗客の評価と口コミ

実際に搭乗したお客さんの口コミを調べると、おおむね次のような意見が多かったです。

  • エンジンに近い座席でも静かで快適だった
  • 振動も思ったより少ない
  • 小さい機体なので到着後の降機がスムーズで良かった
  • 比較的快適な座席で短距離路線なら十分なクオリティー(座席仕様は会社により異なるので注意)

ATR72-600の価格

ここではATR72-600を飛ばすためにかかるお金について紹介したいと思います。

機体価格と運航コスト

まずは機体価格ですが、ATR社のプライスリストが入手できませんでしたので、色んな航空会社のプレスリリース等から機体価格を算出しました。

ATR72-600型機の新車価格は約2500万ドル、2024年のレートで約37億5000万円となっています。

厳密にはここから各社でつけるオプションや座席仕様によって変動はあります。

地域路線に就航する上で重要な運航コストについてはライバル機を圧倒する優位性を持っているようです。

メーカーによると軽量設計や短距離セクター用に専用設計されたエンジンによって燃料効率の向上を図っていて、競合するリージョナルジェット機と比べて45%もの運航費低減を実現しているそうです。

それによって年間の運用コストは200万ドル(約3億円)を節約できると謳っています。

その他の旅客機の値段と比較してみたいという方は『旅客機の値段まとめ!セスナ機やA380の価格情報』に代表的な飛行機の値段をまとめていますので、参考にしてみてください。

中古機の動向と価格

ATR72-600型機の中古機はあるのでしょうか。

本記事を執筆している時点で世界の中古飛行機市場を調査ましたが、売り出し中の機体を確認することはできませんでした。

過去の取引状況を確認すると、1,785万ドル(約27億円)程度で売買されているようです(飛行時間、着陸回数等不明)

快適な旅のためのおすすめ座席位置

トキエアとJALの座席仕様は違う!

上で日本の航空会社ではJAL(日本エアコミューター)が同型機を運航しているとご紹介しました。

しかし座席仕様は少しだけ違うので注意が必要です。

トキエアの方が座席間隔が狭い

JALのATR72-600は70座席の設定で前後の座席間隔が30インチ(762mm)確保しているいる一方、トキエアは72座席の設定で、前後の座席間隔は29インチ(736.6mm)になっています。

29インチというと、ジェットスタージャパンやピーチの座席ピッチと同じなので、狭めの設定になっていることが分かります。

快適な旅のためのおすすめ座席位置

ではトキエアに搭乗する際におすすめの座席位置を考えていきたいと思います。

トキエアの座席マップはこのようになっています。

TOKI AIR

結論から言ってしまうと、

景色を楽しみたい方は11~17列目

乗り物酔いしやすい方は8~10列目

プロペラの可変ピッチが観察したいという変態の方には5列目がおすすめです。

主翼がキャビンより高い位置にある高翼機なので、基本的にどこに座っても眼下の景色は楽しむことができます。

しかし7~10列目あたりは主翼とエンジンによって上方の視界が遮られることになるので、空の景色を楽しみたいという方は避けた方が良いでしょう。

そして少し注意が必要な座席は1列目と最後列の18列目です。

1列目は非常口座席となっており、アームレストが上がらないのと、足元に荷物を置くことができません。

逆に前の座席が無いのでスペースは広くなっています。

続いて18列目ですが、すぐうしろにギャレーが配置されているためリクライニングができない座席になります。

トイレも近く人の行き来が多くなるので少し落ち着かないかもしれません。

まとめ

新潟を拠点に就航する新しい航空会社『トキエア』が使用するATR72-600型機について解説してきました。

特徴をまとめます。

  • ATR72シリーズは世界で1300機以上売れているベストセラー機
  • 短距離路線に特化して運航コストを大幅カットに成功
  • 機体の価格は約37億5000万円
  • 航空会社、乗客どちらの評判も上々
  • 景色を楽しむためのおすすめ座席位置は11~17列目

ATR72-600、その優れた性能と革新的な技術により、空の旅がさらに魅力的になりました。快適な座席、静粛性、環境への配慮が絶妙なバランスで調和し、短距離路線における頼りになる存在です。

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